2008年3月15日(土)と16日(日)の2日間、ハワイ・コンベンションセンターにて、オアフ在住のキルト作家ジョン・セラオ先生が主宰するポアカラニ&Co.によるハワイアンキルトの数々が展示され、同時に、ハワイアンキルトの模様となるパターン(型紙)のデザインから作成までのワークショップとハワイアンキルトの体験コーナーが設けられました。
展示されているハワイアンキルトは、その数60点以上。全てポアカラニ&Co.の生徒さんや弟子の皆さんの作品で、ハワイだけでなく、新潟や東京、カナダからの皆さんの作品も見ることができました。
ほとんどの作品が大きなサイズのもので、比較的小さなものでも1メートル程という見ごたえのあるものばかり。一針一針丁寧にステッチされ、その一針一針がシンプルな無地の布に遠くから見てもわかるほどの繊細な表情を作り上げていました。
ハワイアンキルトのデザインには、昔から伝わる伝統的な模様のものもありますが、ホノルル・フェスティバルのハワイアンキルト展では、オリジナルにデザインされたものが出展されました。同じ花をモチーフにしていても、それぞれのデザインにより形や表現が異なり、そのオリジナリティの豊かさには本当に驚かされました。
そして、それらの作品をひとつひとつ見ていくと、ハワイアンキルトがハワイの代表的な伝統文化・芸術と言われるにふさわしく、実に深いものがあることが分かってきます。
ハワイアンキルトのデザインには意味があり、その背後にはストーリーやメッセージが込められているということをご存知でしたか?会場には、出展されているハワイアンキルトの作者の方もいて、そのストーリーやメッセージについて説明してもらえる機会もありました。その話はとても興味深く、ハワイアンキルトは、だた「綺麗に布を縫い合わせたもの」ではなく、一針一針に思いが込められたもっとメッセージ性の強いものでもあるのだということがわかり、今までと全く違った見方になりました。
そんな「本物のハワイアンキルト」とこのホノルル・フェスティバルのハワイアンキルト展で出会うことができました。
◆ハワイアン・キルト ワークショップ
ワークショップには、初めての人からインストラクターとして活躍しているような人まで幅広いレベルの人が参加しました。ジョン先生のワークショップには、お弟子さんやハワイアンキルトの先生が自分のスキルアップのために参加するということも多いのです。
オリジナルのパターン(型紙)を作る際には、生徒の皆さんは、まずデザインの元となるモチーフを植物図鑑や生き物図鑑などで探します。そして、これというものを決め、デザイン化していきます。
切り紙のように型紙となる紙を折りたたんでその部分に下絵を描き、大きな鏡に合わせて全体のデザインを確認しながら、何度も消しては描き、鏡に映しては確認しながら、自分のイメージにあったデザインを作りあげていきます。もちろん、最終チェックはジョン先生です。先生ががしっかり見て必要であれば手直しを入れてくれます。動きの一つ一つが勉強になります。
ハワイアン・キルトの体験ワークショップでは、通常すでに縫うだけになっているハワイアンキルト・キットを使うことが多いのですが、今回の体験ワークショップは、パターン(型紙)を使って、布を切るところから始まりました。ハサミを左右に上手に操りながら布を切るのは結構難しそうでしたが、それ故に、思い入れが強くなり、その次の段階のステッチも一針一針心を込めて丁寧にできるのではないでしょうか。
ポアカラニ&Co.
ジョン・セラオ(John Serrao)先生
ジョン・セラオ先生は、ハワイ王家の血筋をひく由緒あるハワイアンの家系に生まれました。現在はイオラニパレスでキルト教室を開催し、以前はワイキキのロイヤル・ハワイアンセンター(旧ロイヤル・ハワイアン・ショッピングセンター)でハワイアンキルトのワークショップをしていたこともあります。
家に保管されていた古い時代のパターンを見ながら勉強・研究し、自らのオリジナルデザインを次々と生み出しています。
ハワイの伝統文化であるハワイアンキルトを正しい形でハワイの外に紹介し、分かち合っていくことを心から喜び、惜しみなく多くの人たちにハワイアンキルトを伝授しています。最近では日本でのテレビ出演や東京国際キルト展参加など、活動の場も広げています。
気さくで親しみやすい人柄が魅力のジョン・セラオ先生のまわりには、いつもたくさんの人が集まってきます。2009年で第15回となる記念すべきホノルル・フェスティバルに再び参加していただけることを楽しみにしています。
ポアカラニ&Co
ウェブサイト: http://www.poakalani.com(英語)