2011年3月11日から13日に開催される第17回ホノルル・フェスティバルにおいて、新潟県の長岡花火が打ち上げられることになりました。長岡花火は、世界の恒久平和への願いが込められて打ち上げられる花火。今回、ホノルル・フェスティバルで上げられることになった花火も、ホノルル市と長岡市が過去に受けた戦争の傷を絆に変え、2年もの年月を経て実現に至った特別な意味を持った花火です。
その実現の裏には、長岡市、長岡市長をはじめ、多くの方が様々な活動をされてきました。今回、そのおひとりである日米友好の架け橋実行委員会副会長の二澤和夫さんにお話をおうかがいすることができました。
戦争の惨禍を体験したホノルルと長岡、そして共通した世界平和への願い
ホノルルと長岡は、お互いに戦争の惨禍(さんか)を体験した歴史があります。太平洋戦争において、長岡市は米軍の空襲を受けて焼土と化し、一方、ホノルルは真珠湾攻撃で日本軍の攻撃を受けました。また、最後までアメリカとの開戦に反対していたものの、真珠湾攻撃の指揮をとることになった連合艦隊司令長官の山本五十六氏の出身が長岡というつながりもあります。
1945年8月15日に終戦を迎えることになりますが、その少し前の8月1日に長岡は空襲で大変な被害を受けます。その翌年、当時はまだ日々の生活をおくるにも大変な状態ではありましたが、戦争の犠牲になられた方々への慰霊の意味と戦災復興、戦争の惨禍を二度と繰り返してはならないという思いと世界の平和を願って、花火を上げました。それから今日まで、長岡では毎年8月2日と3日に花火を上げています。
今回、ホノルル・フェスティバルで長岡の花火を上げることにより、子供達が将来にわたって世界の平和を深く考えていくきっかけになればと考えています。戦争の惨禍を体験した長岡市は、世界の人々、特に若い世代、子供達に、『世界の平和』を心に刻み、その思いを継続的に広く伝えてもらいたいと考えています。パールハーバー(真珠湾)にあるアリゾナ記念館の教育部長 ポール ハインツさんも、従来から子供達への平和教育に取り組んでいらっしゃり、長岡市の考え方と一致するところがあります。
長岡花火は長岡の伝統
長岡市は人口28万3千人ほどの都市です。駅から歩いて10分程の所に日本一長い川である信濃川があり、町の真ん中に川幅 約1000メートルという空間があります。そこで昔から花火を上げていました。花火を上げるには打ってつけの良いロケーション、大きな花火を打ち上げられるだけの十分な広い空間があったことが長岡の花火を発展させたと思います。
長岡では、三尺玉といって、玉の直径が1メートルほどの大きさで、600メートル打ち上げる花火を上げます。花火の大きさとしては、日本でも最も大きな花火に属すると思うのですが、花火が大きいというだけでなく、実はその花火を作る技術や打ち上げる技術が大変貴重なのです。地元長岡にも花火師がいて、それらをずっと受け継いできました。花火の技術は長岡の伝統なのです。
ホノルル・フェスティバルは、その長岡の伝統である花火を、ホノルルの方、海外の方に見ていただける機会になり、また、長岡を知ってもらえるチャンスだと思っています。
長岡花火は、毎年、市外、県外からたくさんの方が訪れます。学生時代の友達を招待したことがあるのですが、体が震えるような感動を受けたと言っていました。長岡花火を観た多くの人が深い感動を受けて帰られるようです。
ホノルル・フェスティバルで長岡の花火の大きさと音の迫力を再現
花火は、光だけでなく、音の楽しみと迫力があります。長岡で言うところの「腹にひびく」と言うやつです。お腹にドーンと響くのが長岡の花火の醍醐味。長岡の町からも花火は観られるのですが、やはり堤防敷きまで来てみると臨場感が全然違います。
その信濃川の土手をワイキキに置き換えて考えてみると、長岡よりむしろもっと接近した距離で観ることができて、大変な迫力になると思います。ホノルルで花火を観る会場の位置が、長岡の会場で花火が観られる一番近い位置とだいたい同じなので、とんでもない音、とんでもない迫力になるのではないかと。頭の上であがるような形になるのではないでしょうか。
当日は、ワイキキ沖約300メートルのところに台船を3つおいて、そこから打ち上げます。 まず、過去の戦争の犠牲になったホノルル市と長岡市の人々への鎮魂の意味を込めて、直径30センチの玉の尺玉を三発打ち上げます。日本でも有名な花火大会で上げられる花火は、大きさ五寸(直径約15センチ)というところでしょうか。その倍の大きさの尺玉から打ち出される花火の大きさが想像できるかと思います。
つづいて、スターマイン・仕掛け花火を4台披露します。日本全国の花火を見させてもらいましたが、長岡の花火の特徴としては、花火の上がる間隔が非常に短い、ほとんど間をおかないということだと思います。仕掛け花火の中でも尺玉が使われます。今回、尺玉は日本から約100個ぐらい持っていきます。
実は、911のテロ以降、花火玉を日本国外に持ち出すことができなかったのですが、テロ以降に初めて持ち出せることになったのが、今回のホノルル・フェスティバルなのです。日本でつくった花火を海外に持って行って上げるということで、ホノルル市の当局はじめ皆さんから大変なご理解をいただいて実現できることになったということは、私共としましても、ホノルル・フェスティバルへの参加の意義は大変大きいと考えています。
今回ホノルルでは、長岡花火そのままの規模を再現するということはできませんが、長岡の花火の良いところを持って行きますので、ぜひ多くの方にご覧いただきたいと思います。
第17回ホノルル・フェスティバルでの長岡花火の内容
8:30pm (グランドパレード終了後)~8:45pm
場所:ワイキキ/ワイキキビーチ
ホノルルのFMラジオ局 Hawaiian105 KINE を聞くことができるラジオを持参いただくと、花火に合わせた音楽もお楽しみいただけます。
1. 平和への祈り: 花火 3発
真珠湾攻撃と長岡空襲の犠牲者の慰霊のため、そして日米友好と世界恒久平和を願って、花火が打ち上げられます。
2. ビギニング・オブ・ザ・ワールド:スターマイン・仕掛け花火
俳優/歌手の加山雄三の長男、池端信宏さんが作曲した「ビギニング・オブ・ザワールド」に合わせて次々と花火が打ち上げられます。
3. さくらさくら:スターマイン・仕掛け花火
日本歌曲の「さくらさくら」をアレンジし、桜の色のピンクを打ち出した花火を披露。
4. ブルー・ハワイ:スターマイン・仕掛け花火
エルビスプレスリー主演の映画「ブルーハワイ」からイメージしたブルーをメインにした花火を披露。
5. 天地人:スターマイン・仕掛け花火
ハワイでもよく知られている長岡が舞台なったNHK大河ドラマ「天地人」のテーマ曲に合わせて長岡ゆかりの武将 直江兼続の生涯を花火で表現。
※何らかの理由により変更する場合もありますが、2010年12月時点の予定です。