第22回ホノルル フェスティバル初日を迎えた、2016年3月11日(金)、 子供達の教育を目的とした「エデュケーショナル・スクール・ツアー」がハワイ・コンベンション・センターで行われました。
このツアーは、ホノルル フェスティバルの舞台裏を見学する、ローカルの学生を対象としたもので、毎年、多くの生徒達が異文化と触れ合う素晴らしい機会となっています。
ホノルル フェスティバル財団は、フェスティバルの開催だけでなく、この教育プログラム(エデュケーショナル・スクール・ツアー)を通して、ハワイのコミュニティーと子供達に学習できる場を提供しているのです。
今年のホノルル フェスティバル・サブテーマは、“文化交流、平和への道”。
「エデュケーショナル・スクール・ツアー」は、次世代を担う若者のために、このテーマをまさに具現化したものと言えるでしょう。
9:00amを回る頃、ハワイ・コンベンション・センターには続々とローカル学生が集まってきました。
会場入り口には、ホノルル フェスティバル・アートコンテスト作品が並び、彼らを迎え入れていました。
今年は、オアフ島内の幼稚園~高校生まで13校の生徒達約830名が集まり、また世界各地からは20を超えるアーティスト・パフォーマンス団体が、それぞれの文化・伝統を伝えるべく参加しました。
生徒達は、フェスティバルスタッフや黄色のTシャツを着たボランティアのガイドのもと、少数グループに分かれ、会場内を廻りました。
-日本の文化-
ハワイでは日系アメリカ人が多いこともあり、中でも日本文化にたいへん興味を持つ子供たちがたくさんいます。和太鼓を体験したり、書道に挑戦するなど、過去のエデュケーショナル・スクール・ツアーを振り返っても、日本伝統文化は大人気です。
そして、今年の教育プログラム参加団体の中でも、存在感を存分に発揮していたのが、 東京都桜丘中学・高等学校の生徒達です。10組に分かれたブースで、様々な日本の伝統文化を彼らの目線から伝えました。
英語を使って一生懸命説明しながら、コミュニケーションを図っていました。
3組は、切れのある動きで殺陣(たて)を披露。 華麗な太刀捌きにローカルの学生は大喜び。自分もやりたくて仕方がありません。 サムライ気分を満喫できたようでした。
紙芝居や日本の人気アニメの紹介や、
相撲などの日本国技や伝統芸のプレゼンテーション。
箸の使い方・マナー講座も行われました。
時間内にいくつお豆を移動できるかのゲームも行われ、カウントダウン終了間際は大盛り上がり! 焦って豆をお皿の外へ飛ばしてしまう姿も。
そして、日本の昔懐かしい遊びが満載です。
ハワイでも一時人気を博したエキサイティングなけん玉や、それとは対照的に落ち着いて丁寧に行う折り紙、 はたまた、縁日や祭り事、正月の遊びで見られる射的や福笑い、輪投げ、コマ回しにお手玉、羽子板、だるま落としまで。
プロのパフォーマー(大人)との交流・学びとは違い、年の近い彼らとの触れ合いは、 ローカルの学生にとって、より馴染み深いものとなったはずです。
-大人たちが伝える日本-
とは言え、大人達だって負けてはおりません。 大人には大人の知識と経験、教え方というものがあります。 彼らだからこそ、深く伝えられるということが十分にあるのです。
-世界の文化-
ハワイ以外の各国からの参加団体もいらっしゃいます。
今年なんとイタリアから初参加、
パフォーマンスで大注目のザ・フラグ・ウエーバズ・フロム・ファエンザです。
中世のユニフォームを着てファエンザの旗、5つのグループの色、白・黄色・黒・赤・緑を振り演技しました。
ファエンザの旗持ちとミュージシャンはイタリアで最も優秀で、古代の旗ゲームのイタリアチャンピオンとして30以上のタイトルを獲得しているのです。
空気を切る旗の音と、時折、宙高く放り投げられ、見事キャッチするそのパフォーマンスに、学生たちは目を輝かせていました。
こちらは、オーストラリアの”JARAN アボリジナル アンド トレス ストレイト アイランダー ダンスカンパニー“
迫力の長い筒の楽器は、ディジュリドゥ(Didgeridoo, Didjeridu)と呼ばれます。
オーストラリア大陸の先住民アボリジニの金管楽器です。木製ですが、発音原理から木管ではなく金管楽器に分類されるのだとか。
オーストラリアからはもう一団体、ワガナ・アボリジニ・ダンサーズが参加し、
ダチョウの動きを模したコミカルなダンスで盛り上がりを見せ、
その他、昨年に続き、済州大学の海女さん講座や台湾ダンスでも交流を深めていました。
全体を通し、体験する学生達の楽しそうな笑顔がとても印象的でした。
学ぶのは、生徒達だけではありません。
文化交流とは、決して伝える側からの一方通行なものではないのです。
文化を伝えるパフォーマー・アーティスト、参加団体側も、子供達から教えられること・気づかされることがたくさんあるでしょう。 どのように感じ取るのか、どのように伝えれば楽しく分かり易く興味を持ちやすく出来るのか。こんな所に疑問を持つものなのかと。
純粋な心からの見方が盛りだくさんなのです。
これが、異文化・世代を超えた交流の醍醐味と言えるでしょう。
平和とは何か、世界平和のために何が出来るのか。
異文化交流を楽しく体感しながら、若者の心に世界への興味と平和への意識が生まれたことを期待しつつ、 彼らの成長を楽しみにしたいと思います。