ホノルルフェスティバルでは、「交流文化」「教育」「環境」の3つをテーマとして新たな歴史をつくっていくことを宣言し、これらのテーマを基軸に毎年継続的にシンポジウムやイベントを開催しています。

今、日本では、国が観光立国を掲げるなか「日本版DMO(Destination Management / Marketing Organization)」の形成・確立が急がれています。

ここハワイには年間930万人の人々が訪れ、HTA(Hawaii Tourism Authority)がDMOとして機能しています。HTAは1998年にできましたがその仕組みは先駆的で日本の各地から多くの省庁、自治体、観光協会、DMO関係者などが視察に訪れます。

そこで、 第25回は「DMO国際フォーラム in ハワイ」として開催されました。
日本からは、地域の観光事業者、旅館、ホテル、ツーリズム関係者250名が参加し、ほぼ満員となったコンベンションセンター3階のシアタールームで基調講演とパネルディスカッションが開催されました。

山下真輝主席研究員

JTB総合研究所 山下真輝主席研究員


最初にJTB総合研究所の山下真輝主席研究員より「DMOが核となるこれからの日本の観光の可能性」と題して解説がありました。日本における訪日市場の概要、DMOが担う役割、観光行政の課題、DMO団体の登録状況や日本の政府の動きなどが紹介され、今回のフォーラムに際して吸収すべきポイントなどが示されました。

Mitsue Verlay次長

HTJ Mitsue Verlay次長


基調講演ではHTJ(Hawaii Tourism Japan)のMitsue Verlay次長が登壇し「DMOとしてのハワイ州の取り組み」と題して概要、ミッション、戦略、宿泊税の仕組み、ブランドマネジメントなどマーケティング手法やそのデータを示しながら解説し、サスティナブルツーリズムへの取り組みとして自然保全プログラム-Aloha Aina-や文化保存や継承-Kukulu Ola-などの活動も紹介されました。日本市場におけるマーケティング活動ではその分析手法やプロモーション手法も刺激的で参考になる内容でした。

持続可能なツーリズムによって地域の産業を活性化させるには?
地域における観光振興のかじ取り役となり、地方創生の重要施策を実施していくにはどのような連携が必要か?宿泊税を原資に観光基盤をどのように整備し、地域住民にとっての満足感をどう高めていくのか?

次に、パネルディスカッション形式でそれら問いかけへのヒントをちりばめた、各種プレゼンテーションが行われていきました。

JTB協定旅館ホテル連盟会長 大西雅之氏

JTB協定旅館ホテル連盟会長 大西雅之氏


今回のフォーラムは日本のDMO関係者を対象に開催されましたが、ハワイの事例だけではなく日本のDMO最前線でご活躍されるJTB協定旅館ホテル連盟会長の大西雅之氏にもご参加を頂きました。
大西氏からは「アドベンチャーツーリズムの聖地を目指して!」と題して北海道阿寒における事例を紹介しました。特に異文化交流の視点でアイヌ文化の施策を最大限に生かしたエンターティンメント(「カムイ・ルミナ」「ロストカムイ」)の紹介、山岳リゾートとしての立地によって実現するアクティビティなどハワイにも通じる内容でした。

Kyoya Company.Ltd上席副社長 永井信忠氏

Kyoya Company.Ltd上席副社長 永井信忠氏


ハワイ側からもホテル事業者としてシェラトングループを率いるKyoya Company.Ltd上席副社長の永井信忠氏、ハワイの自然との共生でアクティビティを実現してきたクアロア牧場のJohn Morgan社長にも参加を頂きました。
永井氏からはこれまでのハワイのツーリズムの歩みを紹介しインターネットによる市場の変化、それに合わせたホテルプロパティの改修など旅館やホテルからの参加者からもコモディティ化からの脱却手法など大いに参考となったとの声がありました。

Kualoa Ranch社長 ジョン・モーガン氏

Kualoa Ranch社長 ジョン・モーガン氏


John Morgan氏はハワイ王国の時代からの自然景観や文化を継承しつつ、地元の学生向けプログラムの充実を図り、当初日本人ツーリスト向けにアクティビティを始めたことや数々の映画ロケ地としての展開など最近のトレンドについて紹介がありました。

パネルディスカッションではハワイのDMO組織と日本との比較についてCEOの待遇の違いやホテル税導入時の両地域のホテル業界の認識の違いなども議論され、DMOとしてのマーケティング機能について日米の違いや現状の課題も浮き彫りとなりました。

また、レスポンシブルツーリズムについては地域住民の満足度の重要性など経済の発展とのバランスについても議論され、今後日本におけるDMOの成熟に合わせてハワイの事例は活かしていけるものと思います。

 

プレゼンテーションの詳細はこちらにまとめましたので、どうぞご覧ください。
ハワイ州観光局 局次長 ミツエ・ヴァーレイ氏>>
JTB協定旅館ホテル連盟 会長 大西 雅之氏>>
Kyo-ya Company.Ltd 上級副会長 永井 信忠氏>>
Kualoa Ranch社長 ジョン・モーガン氏>>
JTB総合研究所 主席研究員 山下 真輝氏>>

 

~聴講者の声-アンケートから~
勉強になりました。ありがとうございます。
実際に観光客が地域サービスを求めることと地域・サービスが観光客に求めること(High Valued Customer)の変化が大変興味深かった。
とくにMitsueさんのお話の中でHTAへの総括的な理解が出来たし、ハワイの観光やもともとの歴史の流れなども学ぶことができ、とても面白かった。
大好きなハワイで有意義なフォーラムに参加出来て感謝致します。
非常に参考になった。
このたびは大変勉強になりました。ハワイにおじゃまする度に進化しており、わくわくします。リピートする取組み、すばらしいと思いました。
TUBEのコンサートをきっかけに久しぶりに訪れたハワイに感謝し、リピーターになりました。長年ハワイ観光のマーケティングや呼び込み施策のすばらしさに驚いていました。今日はその秘訣を知り観光業を仕事としてはいないのですが多くのヒントを頂きました。
勉強になりました。ありがとうございました。
特にMitsue Verlay氏の話が興味深かった。